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当サイトは『鋼の錬金術師』の二次創作サイトです。公式とは一切関係ございません。 同人サイト様に限り、リンク・アンリンクともにフリーです。 http://kotonoha1o6tom.kakuren-bo.com/

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アイム ハングリー!


edwin(原作 未来)
両想い。アップルパイのお話。



 なんだか無性に。理由もなく。けれども、堪えることも出来なかったものだから。オレは彼女に告げた。「アップルパイが食べたい」と。すると彼女は「しょうがないわね」と言って微笑った。
 それが今朝の話。そして現在は何時かといえば、時計の針は14時を示していた。なあ、これはもう。これは昼飯の時間なんか通り越して。もうすぐおやつの時間だろうが。


アイム ハングリー!


 なんとも言えない甘い香りが部屋の中に充満している。その匂いを嗅いだせいか、腹の虫が「堪え切れない」とばかりに鳴いた。そりゃあもう、大きな声で。思わず目の前に座っている彼女に目をやると、その細い肩が上下に揺れているのが分かった。ああもう、こいつときたら。オレは彼女を「いい加減にしろ」と窘めるように睨み付ける。
「笑ってんなよ」
「だって可笑しいんだもん」
 彼女はそう言って無邪気に笑う。オレは心の底から楽しんでいるかのような彼女に少しばかり腹が立って。思わず眉間に皺が寄った。すると、彼女はそれを見て「短気」と揶揄する。「うっせー」と言葉を返すと、彼女は「あとちょっとだから」と、「だから待て」と子どもを宥めるように言う。
 余裕綽々にも感じる彼女の態度に少しだけ苛立ちを覚える。こんちくしょう、嬉しそうに笑いやがって。オレの腹が空っぽなのは、お前のせいなのに。全てお前が待ちぼうけを喰らわすから悪いんだ。どんな気の優しい人間と言えど、こんなに長時間お預けを喰らわせられた挙句こんな態度を取られたら、苛立たずにはいられないだろう。実際、オレが苛立っている訳であるし。うん。だからオレが短気な訳では決してない。断じてない。
 それにしても、だ。今日の彼女は調子に乗り過ぎだ。というか、今日は朝から機嫌がよかったかもしれない。それが少しばかり気になって彼女に尋ねた。「なんかいいことがあったのか?」と。すると彼女はその瞳に優しい色を浮かべてオレの問いに答えた。
「あんたが強請るの珍しいじゃない」
「はあ?」
「あんた、あんま「作って」とか言わないじゃない」
「アップルパイ作るのが嬉しいのか?」
 こいつ料理するのがそんなに好きだったのか、と早々に結論づける。確かに「アップルパイを作るときはいつもこいつ嬉しそうだよな」と納得しかけたオレに「違くて」彼女は苦い笑みを浮かべながら言った。

「あんたはもっと甘えたらいいのよ」
「はあ?」
「アップルパイ、食べたくなったら遠慮しないで言ってってこと」
「はああ?」
「とりあえず、そういうことにしとくわ」

 彼女がなにを言わんとしてるか結局はよく分からなかった。けれどもそう言って微笑った顔がなんというか、すごく、うん、まあ。だもんで、オレは思わず手を伸ばしかける。なのに、彼女は「そろそろかも」なんて唐突に告げて立ち上がった。だもんで、オレの手は行き場を失くす。間抜けに伸びかけたオレの手を見て彼女は「なあに?」と不思議そうな顔をした。けれども、まるで待ちくたびれたとでもいうかのように両の手を真上に突き出すことでなんとか誤魔化した。
 「今持ってくるから」と言って彼女は束ねた金色の髪を揺らしながらキッチンへと向かった。ちらりと覗いたうなじを見てふと思う。そういえば最後のあれはいつのことだったろうか、と。最近だったようにも感じるし、随分昔のことのようにも思える。そうして考えるやいなや、途端にそれが恋しくなった。悲しいことに、一度そのことについて考えてしまえばオレは気になって堪らない性質だったから。短気な訳では決してない。断じて、ない。
 そうしてオレはキッチンに消えた彼女を追う。

 キッチンでは彼女がオーブンの扉を開けていて。先程よりも強烈な甘い香りが鼻を打つ。彼女は「出来たよ」と微笑いながら告げた。オレはそれが欲しくて欲しくて堪らない。それというのも全部お前のせいなんだ。でもお前が否定するなら、オレのせいだっていい。なんだって構わない。だから。
 オレは彼女の手首を掴む。
 彼女はオーブンからを取り出そうとしていた手を止める。そして、少し驚きながらも不思議そうに首を傾げてオレに問う。「なにが?」なんて決まりきったこと。呑気そうに呟いてんじゃねえよ、ばーか。
 オレの鼻を胸を甘い薫りが空気を満たしていく。オレはもう空腹を抑えきれそうになかった。待ちくたびれたんだよ、いい加減。
 時計の針がその時を告げる。さあ、おやつの時間だ。オレはそれに手を伸ばす。


 なあ、どうか。
 とびきりに甘そうなそいつをくれ。
 



***
なぜかピ.ロウズにはまってまして、『M.ighty lovers』を聴いて書きましたとさ。
曲の冒頭が「下.着のままで林檎の皮を剥き」だったけど、
それじゃ話の展開が色々やばいので、お決まりな話にまとめました。
Rの付く話は書けないです。

 

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