カレンダーabout当サイトは『鋼の錬金術師』の二次創作サイトです。公式とは一切関係ございません。 同人サイト様に限り、リンク・アンリンクともにフリーです。 http://kotonoha1o6tom.kakuren-bo.com/ プロフィール
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コトノハ倉庫管理人の二次創作妄想小説倉庫 since 2010.5.18PAGE | 26 23 22 21 20 18 17 15 14 12 11 | ADMIN | WRITE 2010.05.20 Thu 19:26:52 ねえ、どうか愛してedwin(原作) 片想い?少年に想うこと。微妙に過去。 ねえ、どうして。あんたはいつも無茶をするの?あたしの丹精込めた機械鎧をよくもこんなに粉々に!!何があったのよ?どうすればこんな風になるの?ねえ、ねえってば。答えなさいよ。 そんなあたしの問いに、彼が答えることはない。ただ「すまん」だとか「大したことねえよ」だとか「巻き込まれちまった」だとか聞いてもいないことを馬鹿みたいに繰り返す。 ねえ、あたしがそんなことを聞きたいとでも思っているの?あたしはあんたの謝罪だとか気休めの言葉だとか言い訳なんかを望んでいる訳じゃない。あたしが望んでいることは。 ねえ、どうか愛して 西に傾いた陽の光が壊れかけた機械鎧を照らす。光を受けて輝くその姿はどこか誇らしげにも見えて。あたしが思う。ねえ、まさか。まさかそんなことはないとは思ってはいるけど、「名誉の負傷」だとでも言うんじゃないでしょうね?溜め息を吐くと、ソファーに座る幼なじみがビクッと揺れるのが分かった。ねえ、そんなに。そんなに怯えるくらいならなんで。あたしはソファーに向き直り、瞳に目一杯の怒りを込めて彼に問うた。 「あんた、どう思ってるのよ?」 そう言うと、彼は一瞬だけ驚いた顔をした。そして、一拍を置いた後、訝しげに眉を顰めながら言葉を返してきた。 「なにを、だよ」 「決まってるじゃない、あたしの機械鎧のことを、よ」 すると、彼はまた困った顔をして見せた。多分、責められていると思っているのだろう。それを証拠に、彼はお決まりのその言葉を発してみせた。「ごめん」と一言。 「ごめんって思うなら、大切にしてよ」 「悪い」 「本当に大切だと思ってるの?」 「当たり前だろうが」 「あたしはね、あたしの作った義肢があんたの腕と足であればいいと思ってるのよ?」 「これは、オレの腕と足だよ」 即答。彼は、まるでさも当然かというように見事に言い切ってみせた。あたしは、きっとその彼の言葉に喜ぶべきだったろう。「機械鎧整備士冥利に尽きる」なんて言いながら。でも、あたしは喜ぶことなんて出来なかった。あたしは確かに機械鎧整備士だった。けれども、同時に彼の幼馴染でもあった、から。 ねえ、じゃあ、なんで。疑問だとか不満だとかが思わず溢れそうになる。けれども、あたしはそれを必死に飲み込んだ。溢れたら止まらなくなりそうだから。代わりに文句の言葉を投げかける。 「あんたって、意味分かんない」 「なにがだよ?」 「なにもかも、よ」 彼はあたしの言葉に不満があるかのように、その眉間の皺を益々深く寄せて、口を開きかけた。でも、あたしは今は彼に付き合う気なんて微塵も湧かなくて。言葉を待たずに「今から治すから」と素早く告げる。すると、彼は不服そうな顔をしながらも「おう」と言って頷いた。そして、無残な姿になった「彼の腕」を置いて歪な足音をたてながら部屋から消えた。 静まり返った部屋の中、あたしはもう一度溜め息をつく。その音はやけに響いて聞こえた。この胸に渦巻く気持ちがなにか、あたしは分かっていた。けれども、同時に自分のすべきことはなにか。それをあたしは知っていた。知っているから。 あたしは、大きく息を吸って吐く。そして、工具箱から工具を取り出した。 ねえ、もしも。 あんたがあたしのこの機械鎧を心から愛していてくれていて、自分の手足だと思っていて、それなのに何度も壊せるとしたならば。壊れても構わないと思っているならば。あたしは、そのほうが嫌なの。そのほうが哀しいの。「自分の腕と足ならば何度だって壊れてもいい」だなんて、もしあんたが心の底から思っているとするならば。それほど哀しいことはないでしょう? ねえ、でも。あたしが「壊さないで」って言ったところで。あんたは笑ってただ「悪い」って言うだけなんでしょう?あたしのスパナさえ喰らえば済むことだと本当は思ってるんでしょう?あたしが強く言わないことを言えないことを知ってるんでしょう? あんたがそう思っている通り、あたしは自分の役割を知っている。知りたくもないのに。あたしとあんたたちの間には目には見えない、けれども決定的な境界線があって、あたしには境界線を越えてあんたたちを抱きしめることなんか出来ない。そのことを許されていない。あたしはそれを知っている。知っていて素知らぬ振りをしているの。けれども、知っているのよ。あんたたちが気付かぬ振りをしていることを。本当はすべて知っているくせに。 だから、あたしは何度でもあんたの機械鎧を治す。あんたたちが元に戻るまで。それがあたしに唯一許されている、あんたたちのために出来ることだから。 あたしは、いつの間にか作業に夢中になっていて。気が付いたら、すっかり西へと太陽は沈みきっていた。道理で作業がしにくい訳だ。あたしはカーテンを引こうと窓辺に寄る。 すると、ガラス戸を挟んだ闇の世界に一筋の光が落ちた。 あたしはそれを見て「落ちる前に願い事を三回唱えると願いが叶う」なんていうジンクスをふと思い出す。けれども、願い事を唱える暇なんてなくて。そんなんじゃ願いは叶わないってあたしは知っている。例え三回唱え終わっても必ずしも叶う訳じゃないってことも。けれども、あたしの両手は何故か前で結ばれていた。不思議なことに。 願っても叶わないことがあるとあたしは知っている。だから、これは願いなんかじゃない。願いにも似た、あたしの独りよがりな身勝手な望み。ちっぽけなちっぽけなあたしの祈り。あたしは目を瞑って想う。 ねえ、どうか。どんなにそれが罪深いことだったとしても。許せないと思っているとしても。 ねえ、どうか。 どうか自分のことを愛して。 どうか愛してあげて。 *** ウィンリィは無鉄砲な彼が心配で堪らんことでしょう。 弟も心配だけど、特に兄が。でもって、いつも「もっと自分を大切にして欲しいと」思ってんじゃないでしょうか。 そういうお話です。 ちなみに、祈りと願いって厳密な違いってないんじゃないかな?書いといてなんですが。 あと、「治す」はわざと。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |